【読み方】：オトコハアイドルエーニムチュウダッタ
男はアイドルAに夢中だった。
安月給のため生活に余裕はなかったが使える金は全てアイドルAにつぎ込んでいた。
写真集やDVDの発売イベントには必ず顔を出し、その場でありったけの金を使うことが男の日常だった。
その日はアイドルAのバースデーイベントだった。
当然参加した男が握手待ちの列に並んでいるとアイドルAのマネージャーが話しかけてきた。
「いつもありがとうございます」
毎回イベントに顔を出し写真集などを数十冊単位で購入していく男はすっかり顔馴染みになっていた。
「Aもほんと喜んでるんですよ」
そう言われて内心嬉しくてたまらない男。
そしてようやく握手する番になった。
「わぁ！ありがと～！」
目の前でにっこりと笑いながら喜んでいる姿に男はこの上ない幸せを感じていた。
数日後、アイドルAは自宅前の路上でメッタ刺しにされて殺された。
犯人はあの男だった。
目撃証言から割り出され抵抗することもなく逮捕された。
「なぜあんなことをしたんだ」
刑事からの追求に男はボソリとつぶやいた。
「ずっと暗かったから」
■解説:
バースデーイベントに参加をした男。
バースデーイベントであり、かつアイドルAが何か嬉しそうな発言をしていることから誕生日プレゼントをもらったと考えられる。
そして数日後の男の発言「ずっと暗かったから」というコメントをつなげると
プレゼントの中に入っていたのはカメラであり、それがずっと暗いところを映していた、つまりプレゼントを開けていなかったということになる。
これまでずっとお金をアイドルAへと費やし「Aもほんと喜んでるんですよ」とマネージャーに言われていたが
実際にはプレゼントが開けられてもいなかったという事実が分かり犯行に及んだと考えられる。